寝殿(しんでん)
寝殿は、主人の住む寝殿造の主殿で、六條院の春の御殿の場合、正面の柱間(桁行)が五間、側面の柱間(梁間)が二間の母屋(もや)を中心に、周囲に一間づつの廂(ひさし)が付いている。廂の外にさらに簀子(すのこ)の濡れ縁が付いて、廂と簀子の間に格子(こうし)が降りるから、廂の部分までが屋内ということになる。建物の内部は丸柱が露出した吹き放ちの空間で、塗籠(ぬりごめ)などの特殊な部屋は例外として固定された間仕切りの部屋がなく、必要に応じて御簾(みす)を垂らしたり、あるいは屏風(びょうぶ)・几帳(きちょう)などを立てて、適当に仕切って使用した。
また、床は白木の板の間で、座る場所には、畳やときにはさらにその上に茵しとねを敷いたり、簡単な場合には円座(わろうざ)を用いたりした。
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