風俗博物館
TOP 六條院拝見 貴族の生活 行幸の演出 六條院四季の移ろい 風俗博物館について
MENU
睦月(一月)
如月(二月)
弥生(三月)
卯月(四月)
皐月(五月)
水無月(六月)
文月(七月)
葉月(八月)
長月(九月)
神無月(十月)
霜月(十一月)
師走(十二月)
*
*
平安京へ出かけよう
牛車で清水詣へ出かけよう
輿で鞍馬へ出かけよう
虫垂れぎぬ姿で出かけよう
*

六條院四季の移ろい

水無月(みなづき)(六月)


ヒルガオ
ヒルガオ
ヤブカンゾウ
ヤブカンゾウ
ハス
ハス
ホテイアオイ
ホテイアオイ
サルスベリ
サルスベリ
スイレン
スイレン
六月祓(みなづきのはらえ) 晦日(みそか)
*
平安神宮「夏越の大祓式」茅の輪
「風そよぐならの小川の夕暮れはみそぎぞ夏のしるしなりける(そよ風の吹いているならの小川の夕暮れは、もうすっかり涼しくて秋の気配だけれども、みそぎをしているのを見ると、まだ夏なのだなあ)」は、『小倉百人一首』にも採られた藤原家隆の歌。上賀茂神社境内を流れる「奈良の小川」における六月祓を詠んだものとして有名である。

「六月祓」は「夏越祓(なごしのはらえ)」ともいい、六月晦日(みそか)に、半年間の心身の穢(けが)れを祓はらう行事。菅(すげ)や茅(ち)で作った輪をくぐったり、また、人形(ひとがた)を作ってそれを自分の分身とし、体を撫で、息を吹きかけて罪や穢れを移し、海や川に流したり水盤に張った水に投じたりした。これらは神事として今も各地の神社で行われ、例えば上賀茂神社では毎年六月三十日夜、境内の奈良の小川で人形を流す夏越祓式が行われている。

また、半年間の穢れを払うのみならず、長寿を祈る行事でもあったようで、『拾遺集』よみ人知らずの歌に、「水無月の夏越の祓する人は千年の命延ぶといふなり(六月の夏越の祓えをする人は、寿命が延びて千歳の命を得るということだ)」があり、六月祓の歌として著名。この行事が行われる際に、よくこの歌が口ずさまれる。

氷室(ひむろ)の氷と水無月(みなづき)

*
氷室跡
(京都市北区西賀茂氷室町)
現在のような冷房のない時代、貴族たちが夏の暑さを和らげるために利用していたのが「氷室」である。氷室は、冬の間に出来た氷を夏まで貯蔵するための穴蔵であり、毎年六月一日には「氷の節供(せっく)」として、この氷室から運び出した氷を神に捧げ、その一片を口にして邪気を祓(はら)う行事が行われていた。

現在、京都では六月三十日の「夏越祓(なごしのはらえ)」の日に「水無月」という菓子を食べる習慣があるが、この水無月はこの氷室の氷を模ったものである。

*
水無月

葛(くず)や外郎(ういろう)で出来た三角形の生地の上に邪気を祓うとされる小豆(あづき)が載せられたもので、小豆は氷室から切り出された氷についた砂粒を表しているといわれる。

夏の装い
草合わせ      








左右の二手に分かれて草花を互いに出し合いその優劣を競う遊び。『扇面法華経冊子』には、少女たちがまだ夏の暑さの残る野で草合わせに興じる場面が描かれる。
「扇面法華経冊子」版本

*
羅の几帳
*
蝙蝠扇
*
羅の汗衫

アサガオ
アサガオ
ハス
ハス
ギボシ
ギボシ
ムクゲ
ムクゲ
キキョウ
キキョウ
釣殿(つりどの)での涼み

*

『徒然草』にもあるように、日本の住宅は冬よりも、暑い夏をいかに過ごすかという観点から造られていた。寝殿造では対の屋の南の廊つなぎに、釣殿や泉殿(いずみどの)とよばれる建物が池に張り出していた。釣殿は池中の魚を釣る風情から、泉殿は湧泉に面するところから付けられた名であるが、実質的には類似の夏の納涼を目的とした建築である。

釣殿は、一間四方の主屋に廂(ひさし)と簀子(すのこ)を付けた、吹き放ちの簡単な構造である。光源氏の六條院では、東の釣殿が設けられていて、夏の暑い日に源氏はここで夕霧や殿上人とともに夕涼みがてら、桂川の鮎(あゆ)や近くの川で獲れた「いしぶし」といった魚を前で調理させたり、氷室の氷で作った水飯(すいはん)を食べながら酒を飲んだりしている(「常夏」)。

高欄(こうらん)に背中をもたせかけて、池の上を吹いてくる風に涼をとる風情、といえば聞こえはいいが、西日は照るし、風がなければやっぱり暑いことにかわりはない。


*
「扇面法華経冊子」版本
*
「扇面法華経冊子」版本
*
「扇面法華経冊子」版本



*
風俗博物館
〒600-8468 京都市下京区堀川通新花屋町下る(井筒左女牛ビル5階)
TEL:075-351-5520 FAX:075-351-6947
ご意見、お問い合わせはこちらまで
(館長 井筒 與兵衛) mail
Copyright(C)1998,COSTUME MUSEUM All Rights Reserved.
*