輦(れん)と輿(こし)
天皇の外出(行幸(ぎょうこう))には牛車(ぎっしゃ)を使用せず、もっぱら輦(れん)を用いた。
輦は力者が肩に舁(か)くもので、屋形の屋根も切妻ではなく、四つの棟を中央の頂に集めた方形造(ほうぎょうづくり)である。頂に金銅製の鳳凰(ほうおう)の作り物を乗せたものを「鳳輦(ほうれん)」、宝珠を乗せたものを「葱花輦(そうかれん)」という。また力者を、駕輿丁(かよちょう)とよぶ。神社の祭礼に用いられる神輿は、この天皇の輦を模したものである。 これに対して、一般の者が乗る輿は、力者が肩ではなく腰のところで舁き、屋形の屋根も切妻という違いがある。
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