風俗博物館
TOP 六條院拝見 貴族の生活 行幸の演出 六條院四季の移ろい 風俗博物館について
MENU
雅楽
楽器
晴れの室礼
鵜飼と鷹飼
行幸の饗宴 平安時代のご馳走
*
*
平安京へ出かけよう
牛車で清水詣へ出かけよう
輿で鞍馬へ出かけよう
虫垂れぎぬ姿で出かけよう
*

行幸の演出

楽器


* 古来からあった「こと」や「ふえ」などの素朴な楽器に加えて、中国大陸から雅楽とともに多くの種類の楽器が入ってくると、演奏方法も音色も豊富になった。神楽や舞楽の舞の伴奏音楽としても使われたが、貴族の遊びとして楽器だけの合奏が重視されるようになると、個々の楽器がたいせつに扱われるようになり、名器が生まれ、名前がつけられた。そして、たとえば羅城門の鬼が弾いたという琵琶「玄象(げんじょう)」のような伝説も生まれるようになった。
和琴(わごん)
日本古来の六絃の琴で、倭琴(やまとごと)ともいう。右手に琴軋(ことさき)というへらのようなものを持ち、掻(か)き鳴らす。古くは楽曲にも用いられることがあったが、現在では神楽(かぐら)、東遊(あずまあそび)、久米歌(くめうた)などに用いられる。写真は古い形式の鴟尾琴(とびのおのこと)。


琴(きん)
七絃の琴。日本では、長い胴に水平に糸を張った弦楽器を総称して「こと」といい、中国から伝来した琴に「こと」の読みを当てたが、琴(きん)という場合はこの楽器を限定して指す。左手で絃を押さえ、右手で弾く。平安中期までは貴族に愛用されたが、その後廃絶し、現在の雅楽では用いられない。
*
*
箏(そう)
現在のいわゆる十三絃の「お琴」(箏)と基本的に同じであるが、とくに雅楽の箏を楽箏(がくそう)とよぶ。
*
横笛(よこぶえ)
雅楽の横笛には、神楽笛(かぐらぶえ)・龍笛(りゅうてき)・高麗笛(こまぶえ)の三種があるが、とくに唐楽に用いる龍笛を横笛(ようじょう)という。吹き口を歌口(うたくち)といい、指穴は七孔ある。「葉二(はふたつ)」「小枝(さえだ)」「柯亭(かてい)」などと名づけられた名器が伝えられた。
*
笙(しょう)
吹き口がついた頭に十七本の長短の竹管を立て、銀の帯で束ねた楽器。息を吹き込み、小穴を指で押さえることによって、同時に複数の竹管の元についた砂張(さはり)のリードを鳴らす(合竹)。吹いても吸っても音が出る。朗詠(ろうえい)・催馬楽(さいばら)の時は単音で奏するが、楽曲の時は篳篥(ひちりき)や横笛(よこぶえ)の旋律に対し、和音を演奏する。
笏拍子(しゃくびょうし)
笏を二つに割った形の打楽器。神楽(かぐら)・東遊(あずまあそび)や催馬楽(さいばら)などで唱歌の音頭がこれを用いる。管絃の御遊では、太鼓・鞨鼓(かっこ)・鉦鼓(しょうこ)などの打物の代わりに笏拍子を使うことが多い。
*
琵琶(びわ)
果物の枇杷を半分に割ったような四絃の楽器で、腕に抱えて撥(ばち)で弾く。頸(くび)がほぼ直角に背側に曲がり糸巻きで絃を張る。のちには平家琵琶なども生まれるが、雅楽の琵琶をとくに楽琵琶(がくびわ)とよぶ。王朝貴族の愛した楽器のひとつで、古来より名器になまえがつけられ、皇室や各家に伝来した。
*
宇陀の法師

宇陀院が愛したと言われる和琴の名器の名前であるが、一条院の時、内裏焼亡(だいりしょうぼう)と共に焼失した。『枕草子』には、数多くの名器の中にその名が見えることから、宮中にはさまざまな名の通った楽器が存在したようである。特にこの和琴は、実際の宴遊の際の楽器の中でも最も格式の高いものとして重んじられていた(『新儀式』、『小右記』長保二年十一月十五日条)。平安中期の官人源博雅は、村上天皇から「宇多の法師」を授けられ「賀殿(かてん)」と「此殿(このとの)」という曲を演奏したことがあったらしい(『政事要略』)。『源氏物語』の「藤裏葉」の六條院行幸(ろくじょういんぎょうこう)の際には、宮中の書司(ふみのつかさ)からさまざまな名器が集められ演奏されたことが描かれているが、和琴の奏でる音色に朱雀院の心には自らの在位時代が鮮やかに蘇り、しみじみとした懐旧の念を抱くのである。



*
風俗博物館
〒600-8468 京都市下京区堀川通新花屋町下る(井筒左女牛ビル5階)
TEL:075-351-5520 FAX:075-351-6947
ご意見、お問い合わせはこちらまで
(館長 井筒 與兵衛) mail
Copyright(C)1998,COSTUME MUSEUM All Rights Reserved.
*