◆打出(うちいで)
行幸(ぎょうこう)や大饗(たいきょう)、その他の晴儀の際に、母屋(もや)や対屋(たいのや)の御簾(みす)の下から女房装束の袖口の重ね色目を見せて、華やかさを演出する装飾を「打出」という。実際に着飾った女房が居並んでいるように見えるが、本当は、重ねた装束を几帳(きちょう)の柱を支えにして、人が着ているように形作って置いたもの。帳(とばり)ごと几帳を抱え込むようにして絞り、左右の袖口から出した裳(も)の紐(小腰(ごごし))で結んでとめてある。
『満佐須計装束抄(まさすけしょうぞくしょう)』には、一間に二具の割合で置くとあるが、『駒競行幸絵巻』で描かれている打出は一間に一具である。
なお、女房が向かい合って座っているように見える、二具を一度に用いて行う打出の場合は、左右から二組の装束を併せて絞りとめる、御簾の正面から見ると一具であるのに、左右、別々の袖口と色目がのぞくことになる。
下の写真はこの、二種類による打出。
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