◆廂
母屋の四周を取り囲む、廊下を幅広くしたような細長いスペースで、場所によって南廂、東廂などと呼ぶ。この細長い場所を障子(襖)や棚で仕切り、畳を適宜に敷いて、部屋として使うこともあった。ちなみに、「女房」とはこの廂の間に部屋を与えられた女官という意味である。
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◆透渡殿(すきわたどの)
寝殿と東西の対を結ぶ建物を渡殿と呼ぶが、通常南と北に二つあり、南側の、梁間一間が吹放しの通路となっているものを、透渡殿という。
高欄(こうらん)付きの反り橋に作られており、当主に対面する来客は、ここを渡って寝殿へ参上した。
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◆壺(つぼ)
壺庭ともいう。寝殿・対・渡殿などの建物に囲まれた庭で、樹木や草花が植えられ、中央に遣水(やりみず)が流れる。泉が設けられたり、川から引き入れた水がここから涌出するように仕掛けられていることもあった。
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◆遣水(やりみず)
邸内の涌泉や邸外からの導水を、地形の傾斜に応じて流すもの。敷地の北の方から寝殿(しんでん)の東の渡殿(わたどの)の下・壷・透渡殿(すきわたどの)の下を経て、東の対の全面を迂曲し、南庭の池に注ぐようにするのが定法であった。
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◆渡殿(わたどの)
透渡殿(すきわたどの)と並んで北側にある通路で、梁間二間と幅が広く、そのうちの北側一間には局(つぼね)(部屋)が設けられる。
残る南側一間が通路となり、局と通路の間には格子(こうし)や枢戸(くるるど)がはめられた。局は主に女房などの日常の部屋に当てられた。
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