風俗博物館
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六條院拝見

視点を変えてみる「春の御殿」

裳着(「行幸」より)


寝殿の母屋  玉鬘、光源氏、内大臣、花散里、女房たち
寝殿の西廂  裳着に際して贈られてきた品々
寝殿の前庭  公達
源氏の養女として育てられていた玉鬘が、実父の内大臣を腰結役(こしゆいやく)に迎え、裳着(もぎ)の式を行っている。裳着とは女性の成人式にあたる儀式であり、初めて正装し、一人前の女性として認められる。女性の正装である唐衣(からきぬ)・裳(も)のうち、裳は絶対に欠かすことの出来ない礼服であった。

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各々の番号から見た「春の御殿」の様子です。
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裳着に際して様々な祝いの品が届けられるが、中宮からは白き御裳、御装束、唐衣が届けられた。
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裳に付いている後ろに引く紐を引腰という。写真一番手前の萌黄地に花菱の丸文の女性は玉鬘の母親役の花散里。
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女子成人式は平安時代以前の時代には髪を結い上げることに重点が置かれていた(「初笄」「髪上」)。垂髪になってから、髪上げの儀式は形だけ行われる様になった。
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薄緑色の衣が玉鬘。黄色い衣が花散里である。御帳台のすぐ脇に控えている女房は百合の重ね。左手にあるのは御帳台である。
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玉鬘の背後の内大臣は二つ色重ねに臥蝶の丸文の直衣。玉鬘は白地に亀甲文の唐衣を着る。
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裳着は亥の刻や子の刻といった深夜(午後9時〜午前1時)に行われる行事である。年齢は12〜14歳。玉鬘の23歳は異例である。
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裳着と同時に額の前髪を上げる「髪上」が行われる。正面に平額という飾りをつけ、その下に櫛を挿し、笄・釵子と呼ばれるピンのようなものでとめる。
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女房が禄に使う衣裳を品定めしている。不備がないか点検し、丁寧に畳んでいく。女房の背後、廂の端に置かれているのは移動可能な衝立状の馬形障子。
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女性が持つ檜扇は日本独特のものである。檜の薄板に胡粉を塗り、その上から金銀泥で唐絵や大和絵を描いたものがある。
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裳着の祝いの品の中で薫物は重要な位置を占めた。源氏が明石の姫君の裳着の際、様々な人々に薫物の調合を依頼しているのがいい例である。
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本来は腰結役である内大臣が前で紐を結ぶべきであるが、男性であるので女房が代わりを務めている。逆に内大臣は後ろで裳を腰に合わせる役をしている。
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裳着の儀式は女性が初めて腰に裳を着ける儀式である。玉鬘は薄縹色の裳を、今、まさに着けてもらっている処である。
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裳の上部両端には長い紐が付いている。この紐を小腰と呼ぶ。裳を付けるため、この紐を前で結んでやるのが腰結役の役目である。
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柏木はじめ内大臣の息子たちが座す。冠直衣姿。当時、個人的な儀式の折には親族や兄弟も呼ばれ、酒食が振る舞われ、宴会が催された。
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祝い事の折には、祝詞を述べに参上した五位・六位を始め、随身や雑色などに禄が与えられた。禄は今で言う引き出物である。
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中央に立っているのが玉鬘。画面左手の白い直衣姿の男性が養い親の光源氏。玉鬘の後ろに立っているのが実父の内大臣である。
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玉鬘は薄緑色の破菖蒲重ね。花散里は黄色の菖蒲重ね。手前の女性は百合重ね。後ろには二階棚、二階厨子が並び、屏風が置かれている。
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この2人の官人は近衛府に属し、高貴の人達の護衛の随身として、目的により弓箭(=矢)を帯びる。他に馬副・手振も褐衣を着る。
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禄を受け取った上達部は、作法(三條實冬の故実作法によれば)に従って、頂いた衣裳を左肩にかけ右手で抑え、さらに左手で補って帰途につく。
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当時、女性が男性に顔を見せることはないので禄の受け渡しは御簾の下の隙間から…ということになる。中を明るくするとこの様な感じ。(本来、中は暗くここまで見透かせない)
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禄の受け渡しは写真の様になる。御簾内、女房が禄の衣裳を用意して控えている。別の女房が御簾の下から衣裳を出し、外の上達部が受け取り、写真右奥の様に肩にかけて帰る。
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角度を変えるとよく分かるが、母屋につながる一段下がっている部分が廂。この前方には、さらに濡れ縁の簀子がつながる。
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透渡殿を渡る女童が持つのは汗衫と呼ばれる衣。上に着ているのは袿を裾短に仕立てた衵という衣。
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簀子に隠れて武官と透渡殿の女の童の姿をうかがっている女の童。正装の汗衫の片袖を脱いでいる。
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近衛府の官人の後ろ姿。地面を引きずらないよう下襲の裾を上に括り上げている。その向こうに見えるのが褐衣姿の武官。
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近衛府の官人は御所の警護が仕事で、武官の装束を着るが、中でも五位以上の官人は武官用の束帯を着る。袍は脇の開いた闕腋袍。



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