財団法人風俗博物館の蔵品のなかに「公事屏風」と箱題された六曲屏風一双がある。絵絹を用い、軟錦で縁取りし、一扇ごとに一場面の宮廷行事を繊細に描いている。
款記はないが御所周辺の画師の手になるとみられ、作期には江戸後期が想定される。
右双の右端から「正月・子の日の小松引」「二月・列見」「三月・曲水流觴」「四月・孟旬」「五月・献菖蒲」「六月・大祓」、左双に移って右端から「七月・相撲節会」「八月・駒牽」「九月・虫狩」「十月・射場始」「十一月・五節舞」「師走・追儺」と進む。
以上により月次に朝廷で行われた儀式を描いた「公事屏風」と理解される。
今回の「京都文化博物館」での展示会(源氏物語と京都)に併せた藏品展示及び図録においては、第一部を「公事屏風」を中心にすえた「月次行事のかたち」(年中行事のかたち)、第二部を宮廷周辺の器物による「宮廷文化のかたち」とした。
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